司法書士大津新のお仕事ブログ


2月 09, 2024

取締役会非設置会社の定款の取締役任期規定の注意点

取締役会を置かない株式会社は取締役1名のみということが多いですが、その取締役が辞任して別の取締役に交代という案件がよくあります(M&A株式譲渡や年齢による交代など理由はさまざま)。そのとき、会社の定款の取締役の任期規定②が次のようになっている場合は注意が必要です。

(取締役の任期)
第○○条 取締役の任期は、選任後10年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時までとする。
任期満了前に退任した取締役の補欠として、または増員として選任された取締役の任期は、前任者または他の在任取締役の任期の残存期間と同一とする

なぜならば、1名のみの取締役が交代するということは新任の人は補欠として選任されることになり、このような規定だとせっかく新任の人が最長の10年任期を期待したのに前任者の任期を引き継いでしまい、前任者の就任時期によってはすぐに新任の人の任期が満了して再選の株主総会や登記も行う必要が生じてしまうからです。

そのため、取締役交代の場面でこのような定款規定がある場合は、株主総会で次のように変更する決議をするとよいです。

(取締役の任期)
第○○条 取締役の任期は、選任後10年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時までとする。
② 増員として選任された取締役の任期は、他の在任取締役の任期の残存期間と同一とする。

こうすることで新任の人は前任者の任期を引き継がないで済みます。最近ご依頼いただく新規の取締役会非設置会社設立の定款規定はこのようにしています。